昨日も今日も
放課後は図書室に寄らなかった
公園のアメオのところに寄った
「アメオ!…あ!」
先客がいた
樽崎くん
先客っていうか
飼い主か
もともと樽崎くんが見つけた猫だもんね
樽崎くんの子分
「樽崎くん、ずっといたの?」
「うん…」
ゴホゴホ…
「具合悪くて帰ったの?
昨日も…」
「いや…アメオに会いたかったから…
昨日は、本読みたかったから…
アレ、全部読んだよ
山咲が読んでた本」
「そーなんだ…」
具合悪いわけじゃないの?
やっぱりサボり?
「なんかオススメの本あったら貸してよ
オレでも読みやすいヤツ」
樽崎くんが
アメオを撫でながら言った
「ん、うん…」
樽崎くん
ホントに読みたいのかな?
「アメオ、毛布があるから寒くないかな
でも、ひとりじゃさみしいか?
ごめんな…」
「あ、ごめんなさい
飼ってくれる人、探したけど
なかなかいなくて…」
「探してくれたんだ
ありがと
オレが拾ったからオレに責任ある
冬が来る前にどーにかしなきゃな…」
ニャーニャーニャー…
私のアパートで
内緒で飼いたいけど
鳴き声でバレちゃうな…
「あの…コレ…
今日読み終わったから
よかったら…
たぶんそんなに厚くないから
読みやすいと思う」
カバンから今日読み終わった小説を出した
「え?いいの?
じゃー、借りるわ
読むの時間かかるけどいい?
卒業までには返すから…」
「別に、いつでも…
あ、でも学校は休まない方が…」
「フ…わかった」
真面目だなって思われたかな?
「あの…私にも、何かオススメのCDあったら…」
「え?聴く?
聴きたい?オレが好きなバンドの」
「ん、うん…」
すごく聴きたいわけでもなかったけど
少し知りたかった
樽崎くんが
どんな人なのか
ニャーニャーニャー…
「アメオ、オマエも聴きたい?
今度、新しいアルバム出るから
オマエにも聴かせてやる」
ニャーニャーニャー…
今日も
樽崎くんは優しく笑った



