この恋は、『悪』くない。


少し暗くなった部屋



目の前に樽崎くんがいる



胸の音が

騒ぎ始める



「沙和…
こわくない?」



「ん?うん…」



え、もぉ

いきなり?



「オレのこと、もぉこわくない?」



ん???

ちょっと違ったみたい



樽崎くんは

いつもみたいに

優しい声で聞いてくれる



「うん…こわくないよ…」



「沙和、中学の時
オレのこと、こわがってた」



「それは
樽崎くんに睨まれてると思ってたから…」



「あー、そっか…

あの時は
沙和のこと、気になって見てたんだ」



「私のこと?…なんで?」



「なんで…
んー…なんでって…」



ふたりで中学の頃の思い出話をした



毎日パーティーだった

樽崎くんのいた異次元



同じ教室にいたのに

違う世界だった



私はそぉ思ってたけど

樽崎くんの話の中には

私が出てきて嬉しかった



中学生みたいに

無邪気に笑う樽崎くんを見て

少し緊張が和らぐ



変わらない

優しい笑顔



でも

樽崎くん最近

あの頃より幸せそうに笑うな



また

知らなかった樽崎くんを知る



新しい樽崎くんを知るたびに

好きになるばかりで



どこまで好きになるのかな?って

またこわくなる



でも

好き



もっと知りたくなる