この恋は、『悪』くない。


リビングのテーブルの上が散らかってた



ん?

なんだろう?



テーブルいっぱいに

お菓子が置いてあった



「…沙和…おはよ…」



「え?」



いないはずの樽崎くんが

ソファーにいて

ビックリした



「…おはよう
そこで寝てたの?」



「んー…寒ー…」



「なんで、そんなところで…」



樽崎くんこそ

風邪ひくよ



「沙和が来るの待ってた
甘いの食べたいって…買ってきたから…
一緒に食べるかな…って…

そしたら、いつの間にか、寝てた
アメ抱いてたのに
アメもいつの間にかいなくなってるし…

寒ー…
沙和、コレ好きだったよな?
このチョコとか…あとコレも…」



「うん…好きだけど…」



「新作のなんかも買ったから冷蔵庫入れといた
これだけあれば
1週間はコンビニ行かなくて済むだろ」



「うん…」



好きだけど…



甘いの

好きだけど…



樽崎くんのことも

好きだよ



私がコンビニ行かなくてもいいように

こんなに買って来てくれたの?



一緒に食べようって

ずっと待っててくれたの?



メガネの奥が

熱くなった



「樽崎くん…」
「沙和…」



私の声に重なって

後ろから樽崎くんの声がして



樽崎くんが

私に重なった



「あったかー…沙和…」



後ろから樽崎くんに抱きしめられた



背中と首元が

温かくなって



全身が

一気に熱くなった



樽崎くんに

全部包まれる



好き…



甘いのも好きだけど…



樽崎くんの方が

もっと好きだよ



パジャマを通して

樽崎くんの体温が伝わってくる



「樽崎くん、ありがと…
毎日少しずつ食べるね」



「フ…なくなったらまた買えばいいじゃん」



首元がくすぐったくて

ドキドキする



メガネを取って

樽崎くんに向き合った



樽崎くんの腕の中

樽崎くんがボヤける



私たち

抱き合ってる



ずっと

こーしてほしかった



優しく抱きしめてほしかった



ドキドキして

胸がキューってなる



「あ、もぉこんな時間
オレ、顔洗ってくるわ」



樽崎くんが私から離れた



え!



今いいところだったよね?



樽崎くんの表情は

よく見えなかったけど

照れてた?



それとも

やっぱり

私のこと避けてる?



リビングにひとり取り残された



このドキドキは

どーしたらいい?



身体に

熱と

樽崎くんの匂いが残った



あ、

私ブラしてない