リビングを出て
コンビニには行かなかった
部屋に向かった
コンビニに行きたかったわけじゃなくて
甘いの食べたかったわけじゃなくて
樽崎くんの気を引こうと
パジャマも下着も新しいのにしたのに
上着着せられたら
出て行くしかないじゃん
引っ込みつかなくなった
樽崎くんの上着を脱いで
ベッドに入った
「沙和!どーしたんだよ
ごめん、そんなに甘いの食べたかった?
なに?チョコ?プリン?
寒いけどアイス食べたかった?
オレ行ってくるから上着貸して…」
私が脱いだ樽崎くんの上着を
樽崎くんが羽織った
違う
そーじゃないんだ
「大丈夫…
もぉ、大丈夫…
…
やっぱり、寒いな…って…
ベッド入っただけ…」
「風邪ひくなよ…」
「うん…」
樽崎くんは
私の頭を撫でて
部屋から出て行った
そーじゃないんだ
そーじゃないんだよ
子供みたいじゃん
私
風邪ひくなって
優しいけど
親が子供に言うみたい
樽崎くんの大きな手は
優しいけど
そーじゃないんだ
大丈夫って
何が大丈夫なんだろう?
私
ぜんぜん大丈夫じゃなくて
もっと触れてほしい
樽崎くんは
思わない?
私に触れたいって
酔って女の子抱くクセに
キャバクラだって行ったことあるクセに
私のとこは
彼女のことは
抱きたいって思わないの?
触れたいって思わないの?
下着見えそうで
悪かったね
引かれたかな…
それとも
好みの下着じゃなかった?
樽崎くん
私は樽崎くんの彼女ですか?
どぉしたら
抱いてもらえますか?
新しいブラが
寝るにはキツくて外した
あーぁ…
樽崎くんが外すかもしれなかったのにな
頑張っても
無駄だった



