この恋は、『悪』くない。


「よー、晴輝
事故、大丈夫だった?」



「あぁ…
オープンしたのに
なかなか来れなくて、ごめん」



結局

樽崎くんの腕に掴まれないまま

お店に着いた



「彼女さん?
晴輝、ホントに彼女できたんだ

はじめまして
晴輝の高校時代の友達の中山です」



パーマのかかった髪が

少し揺れて

オシャレなメガネに掛かった



「はじめまして…澤村です」



「さわちゃんね
晴輝から聞いてる」



ん?

何を?



樽崎くん

私の話したのかな?



私の名前

知ってた



「オマエ…余計なこと言うなよ」



「ハイハイ…

へー…
さわちゃん、想像してた感じと違った
晴輝、オマエ、本気だろ」



「なにが?うるさい」



「大切にしろよ」



「言われなくてもするわ」



「さわちゃん
こいつ見た目こんなだけど
結構ピュアで…」



「オマエ、殺すぞ…」



「褒めてんだから殺すな」



樽崎くんの友達か…



樽崎くんの友達ぽい



私は

樽崎くんの彼女ぽくないって

思われてるんだ



想像してたのと違ったって言われた