「沙和、明日どーする?」
「ん?明日?」
「休みだから…」
「あ、うん…」
同居してからの週末は
それぞれ過ごしてた
樽崎くんはケガで
バイクにも乗れなかったし
私は相変わらず
ひとりでカフェに行ったりしてた
たまに映画観て
それもひとりで
「沙和、出掛けたかったら出掛けていいよ」
「え…うん…」
「いつもひとりでカフェ行ってたじゃん」
それは
そうだけど…
別にひとりがよかったわけじゃなくて
ひとりだったから
彼氏とかいたら
きっと週末はひとりで過ごさなかったはず
「樽崎くんは?
なんか予定あった?」
彼氏ができて
初めての週末
「や…オレは特に…
用事っていう用事でもないけど…」
じゃあ、一緒にいようよ
もしかして
もぉ飽きたとか?
だから私に出掛けなって言うの?
ひとりになりたいのは
樽崎くんの方?
「樽崎くん飲みに行かなくていいの?
カズさんに誘われてるんでしょ」
前は飲んで朝帰りしてたよね
もしかして
私が出掛けたら飲みに行くとか?
そしたらまた酔った勢いで?
あー…
「なんで?
だって沙和いるじゃん」
え?
彼女の特権ぽくて
嬉しかった
「じゃあ、私も…
明日、樽崎くんといたい」
「え…」
あー、やっぱり
なんで?って顔された
「ダメなら、いいけど…
適当に過ごすから…
樽崎くんもたまにひとりになりたいよね」
付き合って1週間
もぉ息抜きって必要なのかな?
「や、オレは…
ずっとひとりだったけど
基本ひとりがダメな人間で…
…
まぁ、アメいたから、ひとりでもないか…
沙和はひとりが好きなのかな…って
休日はひとりがいいのかな…って
思ったから…」
「樽崎くんがいるから…
ひとりじゃなくてもいい」
変な日本語
樽崎くんと一緒にいたいって
言えばいいのに…
また迷惑そうな顔されるのが
こわかった
「オレはいいけど…
じゃあ、一緒に出掛ける?」
ん?
樽崎くん
ちょっと嬉しそう?
まだ見慣れない短い襟足を
無造作に触った
もしかして
照れてる?
「またバイク乗りたいな、私
バイクで出掛けたい」
「オレも行きたいとこあったから
一緒に行こうか…」
「うん」
バイクで出掛けたい理由は
バイクに乗ると
樽崎くんの背中に掴まれるから
その時ぐらいしか
樽崎くんに触れる時ない
いつも
触れそうで触れない距離に
樽崎くんはいる
私たち
付き合ってるのに…
他の誰かとは
酔った勢いで寝れるのにね



