眠れなくて
朝方に少しうとうとした
なんか
スッキリしない
でも
起きなきゃ!
仕事休みたい
「きゃっ…」
「よ、おはよー」
部屋のドアを開けたら
樽崎くんがしゃがみこんでた
慌ててメガネを取って
目を擦った
「お、おはよー」
「沙和、昨日のことなんだけど…」
急に立ち上がった
樽崎くんを
見上げた
樽崎くんが
ぼやける
「ん…うん…」
いきなり?
朝から心臓に悪い
「覚えてる?」
寝たら忘れろって言ったのは
樽崎くんなのに
「うん…覚えてるよ」
一晩寝たくらいじゃ忘れられないよ
結局
眠れなかったし…
たぶん
一生忘れない
忘れられるわけない
次の言葉に
私は
息をのんだ
「オレと、付き合える?」
…
心臓に悪すぎる
しかもパジャマだし
まだメイクもしてない
せめて
コンタクトしてたかった
焦点合ってない気がする
恥ずかしすぎて
樽崎くんの顔ちゃんと見れない
でも
コンタクトしてなくても
ちゃんと聞こえた
オレと、付き合える?
樽崎くんと?
樽崎くんの
彼女になれるの?
「オレも待たせたから
すぐに返事しなくてもいいから…
…
それから…
付き合わなかったとしても
今まで通りでいいし…
…
昨日も言ったけど
気まずくなるのとかヤダから…」
「…あの…」
「返事、いつでもいいから…」
「あの…」
「よく考えて…」
「あの!
お願いします」
「なにが?」
「あの…
樽崎くんの彼女に…なれるん、ですか?」
「え…」
樽崎くんの表情はよく見えなかったけど
樽崎くん、驚いてる?
ダメだったかな?
今の答え
「ちゃんと考えた?」
「ちゃんと、考え、ました」
「後悔しない?」
「後悔、しないと、思います」
樽崎くんの彼女になれるとは
思ってなかったけど
なれるなら
なってみたいよ
樽崎くんも
私のことを好きって言ってくれたから
「うん…
後悔、させない」
「は、はい…」
「じゃ、仕事行くわ、オレ」
「う、うん…いってらっしゃい」
「いってきます
…
好きだから、沙和…」



