この恋は、『悪』くない。


足元にボールが転がってきて

先を見たら

小さい女の子が走って来た



「ハイ…」



女の子にボールを転がしてあげた



「おねーちゃん、ありがと!」



5歳くらいかな?



また走って戻って行った

少し先でお父さんとお母さん

それからもっと小さな男の子が待ってた



「かわいいね
ふたり姉弟なのかな?
優しそうなお父さんだね」



「んー…
沙和、子供好き?」



「うん、好きだよ
私、ひとりっ子だったから
兄弟って憧れる」



「へー…
オレなんか兄貴いるけど
ぜんぜん帰って来ねーから
ひとりっ子みたいになってる
沙和、何人くらい子供欲しい?」



ん?

それって私の子供?



「んー…2人…3人かな…4人は無理」



いつか結婚するのかな?

その程度にしか考えてなかったから

咄嗟に答えた



「無理って?」



「育てられないかな…
私が4人の子供の母親とか
考えらんないでしょ
私が結婚するのも想像できないよね
ハハ…なんかおかしいね」



「んー…
1人は、おんぶして…
1人は、抱っこして…
1人は、右手…
1人は、左手…
大丈夫、いけるっしょ!」



「ハハハ…そーゆーことじゃなくて…」



「沙和は、きっと、いいお母さんになるよ

大丈夫
隣に優しそうな旦那さんが
1人抱っこして
もぉ1人手を繋いでくれてるから…」



隣の旦那さんは

なんとなく

樽崎くんじゃない言い方だった



当たり前だけどね



私と樽崎くんとの将来なんかない

わかってる