玄関から物音がした気がした
樽崎くん帰って来たかな?
暗い廊下から
アメを抱いたまま
そっと覗いた
樽崎くんに
なんて言おう
アメが私の腕を抜けて
玄関に走った
「ギャーーーーー!!!」
玄関から男の人の声がした
樽崎くんじゃない
誰?
廊下の電気をつけたら
男の人が立ってた
お父さん?
じゃない
若い
樽崎くんの兄弟?
「あ、あの…私…
すみません、勝手におじゃまして…」
「え…あ…」
え、もしかして
泥棒???
「「あーーー!!!」」
工事の人
樽崎くんと一緒に仕事してた
私が連絡先交換した人
「「え、なんで???」」
ふたりともパニックになった
「晴輝に頼まれてコンビニで牛乳買って…
玄関に置いて来いって…」
「私、樽崎くんの同級生で、アメ…
この猫、アメっていうんですけど…」
ふたり同時に話し始めたから
何を言ってるかわからない
「「………………」」
ニャーニャーニャー…
「牛乳買って玄関に置いて来いって
晴輝に言われたけど
でも絶対中入るなって…
…
なんだ、この猫に飲ませたかったのか…
なんか、入れ物ある?
牛乳入れるヤツ」
「あ、はい!」



