「ハイ…飲む？」
樽崎くんがビールと取皿を持って来た
「今日は、シャワーしないの？」
「うん
シャワーしてるうちに沙和帰りそうだから…
あ、汗臭かったら悪い」
結局
一緒に焼き鳥を食べることになった
「樽崎くんは？飲まないの？」
「今日は、飲まない
沙和とは
酔って記憶ないとか、嫌だから…」
なんとなく首元を見てしまった
もぉ消えてた
私とは
酔っても
間違っても
そんな関係になりたくないよね
言われなくても
わかってるよ
樽崎くんのタイプじゃないって
わかってるけど
また心がズキズキする
「沙和、軟骨食える？」
「うん」
「砂肝は？」
「うん
食べたことないけど食べてみる」
私の知らない味
知ってみようと思ってる
樽崎くんのこと
知りたいと思ってる？
「ハイ、どーぞ…」
「いただきます」
私の前に並べられた焼き鳥とビールをいただいた
ニャー…ニャー…ニャー…
「アメ、ちょっと待って…」
アメが樽崎くんに集った
「アメ、焼き鳥好きなんだね」
「アメの大好物」
「あ…もしかして、私にじゃなくて
コレ、アメのぶんだった？」
「いや、沙和と食べようと思って買ってきたよ
砂肝、食べれた？」
「うん、食べれた」
「じゃあ、また買ってくる」
また
来てもいいの？
「ビール、もぉ1本飲む？」
「ん？大丈夫
そんな強くないから、もぉ酔ってきたかも…」
「沙和って、酔ったら甘えたりするの？」
「ん…？甘えたり…？
…しないかも…
…
樽崎くんて
酔うと、いつもこの前みたいに…」
あ…
「この前みたいに…？」
ダメだ
酔ってる
私
「…なんでもない」
「聞いてよ
言い訳させてよ
…
誰とでも寝るの？
だろ
沙和の聞きたいこと
…
別にオレから誘ってない
言い訳みたいだけど、マジで…」
「へー…そーなんだ」
モテるんだろうけど
誘われたら誰とでも寝るの？
誰とでもではないか
私とはない
言い訳なんかしなくていいのに…
私には
関係ない
「あ、引いた？
フ…引くよね…」
また顔に出てたかな？
「んーん…私には、関係ないし…
別に、気にしてないよ」
「ホント？
沙和、オレのこと避けてなかった？
この前から会わなかっただろ
会わないようにしてただろ」
避けてたかな…
避けてたよね
避けてたけど
引くとか
軽蔑とは違う感情な気がした
「もしかして警戒してた？
フ…襲ったりしねーから大丈夫だよ」
警戒
とも違うような気がする
「うん、わかってる
ごちそうさまでした
そろそろ帰ろーかな…」
「もぉ帰んの？
オレ飲んでないしバイクで送るよ」
「大丈夫」
「送ろうと思って飲まなかったから
送らせろよ」
樽崎くんが
私の腕を掴んだ
「そんな顔すんなよ
フ…襲わねーって…
オレ、そんなこわい？」
軽蔑とも
警戒とも
違う
「ん？こわくないよ」
こわいわけじゃない
込み上げる
この気持ちは
なんだろう
「もぉ外暗いから、危ねーじゃん
少しは、甘えろよ…」
たぶん
女性として
見てほしかった
「うん…お願いします」
