この恋は、『悪』くない。


「季節のフルーツパフェのお客様」



「はい!」



「カフェモカのお客様」



「はい」



森谷さんはフルーツパフェ

私は飲み物だけにした



いつもはひとりで
窓際のカウンター席に座るけど

今日は森谷さんと
ボックス席に向かい合って座った



「澤村さんスイーツ食べなくていいの?」



「はい
まだお腹いっぱいなので…」



「フルーツパフェ持ってきた時
店員さん完全に澤村さん見てたよね」



「ハハハ…
森谷さんがフルーツパフェって…
私もまさか…って思いました」



「ずっとこーゆーの食べたかったけど
ひとりじゃカフェとか来れないし
離婚してから来てなかったな…」



「奥さんとは、よく来てたんですか?」



「うん
女の人は甘いの好きだよね
働いてからは
なかなかそんな時間なかったけどね
あの人、パンケーキ好きだった
クリームいっぱいのってるヤツ」



「奥さんのこと大好きだったんですね」



「ん?なんで?」



「話してる時の顔が優しいので…」



「や、今はパフェ食べてるから幸せだな…って」



森谷さん

照れてる?



「きっと
パフェみたいな結婚生活だったんですね」



「ハハ…うん…そーだね…
オレは、幸せだった
好きな人と一緒にいれて…

彼女は、どぉだったかな…
幸せだったら、別れてないか…」



森谷さんの奥さんは

どぉだったかわからないけど

森谷さんはすごく幸せそうな顔をしてた



結婚て難しいな…

好きなだけじゃダメなんだよね



森谷さんは

きっと

まだ

奥さんを好きなんじゃないかな…



「澤村さん
いつもひとりでカフェ行ってるの?」



「はい
アパートで本読んでるのと
なんか雰囲気違って気分転換になるので…

結構ひとりで来てる人もいるので
来やすいですよ」



「あ、オレ
ひとりで来るようにオススメされてる?

無理にひとりで来る必要なくない?
オレも澤村さんも…」



たしかに…



周りを見たら

カップルが多かった



私と森谷さんも

カップルに見えてるのかな?



「まぁ、相手はお互い違ってもさ
休みの日に一緒にカフェに来る仲の
異性がいても良くない?」



「…ですね」



お互い

探り合いみたいになってる?



Noって返事してるのに

私ってズルイのかも