この度私はめでたく1年7組後期文化委員に選出された。といっても、後期の文化委員会は忙しいというのが周知の事実なので、私の他に立候補者がいなかったというのが真実なのだけれど。
 ちなみに竜生くんも図書委員に立候補していた。今回は前期の委員会決めのときとは違い、やたらめったら図書委員に立候補する女の子はいなくて、女子図書委員も前期に引き続き柏原さんがすることになった。
 文化委員の仕事が本格化するのは9月の最終金曜日に行われる体育祭が終わってからだ。なので、今は目下体育祭に向けてクラスで一致団結の時なのだ。
 ちなみに実力テストは竜生くんの力添えもあり、なかなかの成績を収めることができた。ほんとに心から感謝である。


 うちの高校の体育祭の目玉といえば、クラス毎に行われる応援合戦と、最後に全校生徒で行われるフォークダンスだ。
 応援合戦では、各クラスが大きな木の板に装飾を施したーー通称デコと呼ばれるーーものをバックに曲に合わせて踊るのだ。曲も自分たちで選び、服装も限られた予算の中で作り、ダンスも考えるのだから燃えないわけがない。
 フォークダンスは言わずもがな。気になる子や好きな子と合法的に手を繋いで、体を密着させることができるのだ。フォークダンスなんていやだぁ、と口では言いつつも、楽しみにしている子が大半だった。しかもフォークダンスはクラスの男女でペアを組み、そこからスタートすることが決まっていた。体育は出席番号順ではなく背の順でペアを組んでいくので、初めから竜生くんとペアになる確率は低いが、フォークダンスが終わるまでに一度ぐらいはペアになれるだろうとは思う。     
 
 ちなみにこの情報は全部、佳穂が部活の先輩から仕入れたものだ。ありがとう。


 通常は2クラス男女別に行われている体育の授業だが、フォークダンスの練習は2クラス男女合同で行われる。そのため、運動全般が苦手で体育嫌いな私が、体育の授業を心待ちにしていた。


 「じゃあ、今からフォークダンスの練習をするので広がってくださーい」と言った先生の指示に従い、等間隔に広がる。まずはダンスを覚えるらしい。そりゃそうだ。
 オクラホマ・ミクサーとコロブチカの踊り方を男女別に覚えたら、いよいよダブルサークルを作り本番同様に男女で踊ってみる。私も身長は低くないが、男子の中では一番背の高い竜生くんとは少し離れていた。
 しかも、待って、これって回る方向逆じゃない?ということに、踊り出して気づく。
 体育はいつも背の高い順に並んでいた。私より前の位置にいる竜生くんとは反対方向にパートナーチェンジしていくのだ。これは盲点だった。音楽が進んでいくたびに離れていく私たちの距離を見て、絶対踊れないじゃん、と肩を落とす。まぁ、仕方ない仕方ない。そんなこともあるよね、と私は空元気に気持ちを切り替えるしかなかった。