「みみみみ、三毛さん!?」

「なんですか?」

「ちち、近いですって!」

「近付かないとキスが出来ません」

「キッ!?いやいや!風邪が移っちゃいますって!」

「したいって言ったのは実森さんですよ?」

「そ、そうですけど!そうなんですけど!!」

「実森さん、うるさいです……」

「三毛さ――」

三毛さんは押さえていた私の手を引き剝がし、制止する私の話なんかまったく聞かず、強引に唇を重ねて来た。

そして、ちゅーーーーーーーーーーーっと、吸われる。

「んんーーっ!!」

バタバタと暴れたけど、全然放してくれない。

いや、嬉しいよ?めっちゃ嬉しいんだよ?好きな人とキスが出来てそりゃ嬉しいんだけど、長くない!?

(く、苦しっ……!)

流石に苦しくなって来て、三毛さんの背中をバシバシ叩いた。

「……っぷは!!」

私のタップにようやく唇が離され、新鮮な空気を求めてゼイゼイと息をする。

「実森さん?大丈夫ですか?」

息を切らせている私とは対照的に余裕綽綽《よゆうしゃくしゃく》な顔をしている三毛さん。

(んにゃろ~~~~~っ!)

なんかパニックになっているのが私だけな事に腹が立って来て、私はふぅ、と息を整えて三毛さんの胸ぐらを掴んで勢いよく引き寄せた。

「ぅわっ――」

ぶちゅーーーーーーーっ!と、今度は私が熱烈なキスをお見舞いしてやる。

「んーーーっ!!」

さっきの私同様、三毛さんがバタバタ暴れてるけど、放してなんかやらない。こうなったら風邪が移るとか移らないとかどうでも良い。なんか分かんないけど意地だ。