猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~

件名の所に、『申し訳ありません』の文字。どう考えたって、昨日の事に対しての謝罪だろう。

数分間、その文字をじーっと見つめる。

本文所に何が書いてあるのか気になるけど、開く勇気がない。しかし、このままでは(らち)()かない。

意を決し、えいっ!と本文を開いて文章を読んだ。

「……なに、それ……」

そこには、

―『昨夜の事は、忘れて下さい』―

と言う一文だけ書かれていた。

ギュッと携帯を握り締める。

「そんなの、無理に決まってるじゃない……!」

怒りなのか悲しみなのか分からないけど、携帯を持つ手が震えた。

「……ふざけんじゃないわよ!」

いや。怒りが大分勝っている様に思えた。

時計を見ると、15時25分。milk teaは丁度休憩の時間だ。

私は立ち上がり、昨日楓が乾かしてくれた服に着替える。

『大分調子が良くなったので、少し出て来ます。―実森―』

そう書き置きを残して、私はmilk teaへと向かった。