猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~

「……もり……み……り……」

ん?誰かが名前を呼んでる?

「実森っ!」

ハッと目を開けると、心配そうに顔を覗き込む楓。

「かえ…で……?」

「大丈夫?大分うなされてたよ?それに凄い汗かいてるし……あんた、まさか……」

楓のひんやりした手が私のおでこを覆う。

「……やっぱり。熱があるじゃない!」

「……だいじょーぶだよ……」

あれ?声がちゃんと出ない。

「全然大丈夫なんかじゃないわよっ!そんなカッスカスな声してこんなあっついおでこして!……確か、氷のうがあったハズ……」

パタパタとキッチンへ向かい、棚をゴソゴソ漁る。

私はボーッとする頭で、それを見ていた。

(……違う……そこじゃない……)

何処にあるか知ってるんだけど、それを教えるのに声を張り上げる気力も、手足を動かす気力もない。

一番右端の棚の、上から3番目の引き出しの中……一番右端の棚の、上から3番目の引き出しの中……と楓に念を送る。

「……あ、あった!」

その念が通じたのか、一番右端の棚の上から3番目の引き出しの中を漁っていた楓が声を上げる。

ホッ……と安堵の溜め息が漏れた。