猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~

「ん……」

なんだか寝苦しくて目を覚ました。

すごく、喉が渇く。

「何時……?」

顔だけを動かし、時間を確認する。

まだ6時を少し過ぎた頃。

カーテンの隙間から見える空が、なんとなく白み始めていた。

隣を見ると、楓もまだ規則正しく寝息を立てている。

「お水……」

とりあえず、渇いた喉を潤わそうと上半身を起こした。

「あれ……?」

なんだか凄くダルい。

まあ、良いか……と立ち上がった瞬間、グラッ!と視界が歪んだ。

(あ……?)

すんでの所で側にあったテーブルに掴まり、踏ん張る。

危ない。倒れる所だった。

(え、何?頭グラグラする……)

おでこを押さえると、自分でも分かる位熱かった。

これは……風邪?

なるほど。ダルさ、喉の渇きはこのせいだったのか。

「よりによって、風邪……」

昨日のあの雨に打たれたせいだろう。

「しくった……」

なんてこった。

三毛さんに会いに行って、決着を着けようと決心した矢先に風邪を引くなんて。

この調子では、今日会うのは無理かもしれない。

「ホンット、ツイてない……」

確かポーチに風邪薬が入っていたハズ。とりあえずそれを飲んで、急場をしのごう。

楓を起こさないように、そーっとバッグを漁る。

「……あ、やっぱり持ってた」

キッチンに行き、コップに水を汲んで薬を飲んだ。ひんやりした水が喉を通る感覚が気持ちいい。

「もう少し寝よう……」

トイレに行き、布団に再度潜る。

次に起きた時には熱が引いてます様に……。

そう何度も唱えて、目を瞑った。