猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~

「こ、これは……」

お店に入った瞬間、女の私でも呆気に取られた。

私達は今、この前三毛さんに一緒に言って欲しいと言われたパンケーキ屋さんに来ている。

基本的にピンクと白を基調とした店内に、風船やリボンやふわふわの綿?の様な物が至る所に張り巡らされていて、いわゆる「夢カワ」がコンセプトのお店の様だった。

(す、すご……)

これ、三毛さん大丈夫かな?とチラッと横にいる三毛さんを横目で見ると、眉間にシワを寄せてポカンと口を開けている。

(あ、やっぱり)

これは確かに、男性一人ではとても入れないお店だ。

「二名様ご案内で~す」

そう言われて案内されたテーブルもまた「おお……」と言う代物で、どこぞの貴族か?と言う様な煌《きら》びやかな装飾が施されている。

「ご注文がお決まりになりましたらお呼び下さ~い」

そう言ってフリルでゴテゴテのゴスロリの様な制服をフリフリさせながら店員さんは去って行った。

「……なんだかすごいお店ですね。三毛さん、大丈夫ですか?」

「そう、ですね……ええ、大丈夫ですよ……」

メニューを開いてコソッと話をする。

周りは女子中・高生くらいの若者でごった返していて、みんな「かわいい~~!」とか言いながら店内や運ばれて来た商品をパシャパシャ写真に撮っている。

その光景を、固まって見ている三毛さん。とても大丈夫そうには見えない。

「と、とりあえず注文しましょうか」

私は、テーブルにメニュー表を開いて三毛さんに声をかけた。これはとっとと注文してとっとと食べてとっとと退散しよう。私はまだ良いかもしれないけど、このままじゃ三毛さんのライフが0になってしまう。