猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~

最初は「お礼なんてそんな……」と渋っていた三毛さんも、私があまりにも食い下がるもんで最終的に「じゃあ……」と頷いてくれた。

「来週の水曜日、祝日ですよね?」

「はい」

「お仕事はお休みですよね?」

「はい」

「ではその日、僕とデートしてくれませんか?」

「はい……えっ!?」

流れで頷いたけど、今、デートって言った!?

(デートですと!?今度こそ正真正銘!?え、待って?それって三毛さん的にお礼じゃなくて私的にご褒美なのではっ!?)

私がアワアワしていると、三毛さんがポケットから携帯を取り出し操作をし始めた。携帯の画面をテンパっている私の目の前にかざして写真を見せる。

そこにはパフェやらパンケーキやらクレープやら色々なスイーツがとてもファンシーな飾り付けて盛られている写真が映っていた。急にそんなのを見せられて、私は「はて?」と首を傾げる。

「これは……?」

「最近出来たスイーツ屋さんです」

うん。まあ見れば分かるよね。これが、なに??

「このお店、メニューを見てみると紅茶の種類が豊富で、しかも聞いた事のないブレンドの仕方をしているんです」

さっきとは打って変わって、目をキラキラと輝かせている三毛さん。ちょっと画面を見せてもらって、メニュー欄を見てみる。

このお店はとても親切で『この茶葉とこの茶葉を混ぜています』と言う事が書かれていた。素人の私にはよく分からないけどプロの目(三毛さん)で見ると斬新に映るらしい。

「それで、このお店がどうかしたんですか?」

「このお店、客層が若い女性ばかりなんです。おじさんの僕が一人で行くのがちょっと……」

苦笑いをして頭をポリポリ搔いている三毛さん。

「なるほど。私と行けばカモフラになるって事ですね?」

「カモフラなんてそんなっ!!」

頭をブンブン振って否定している三毛さんを見て、

「ぜひ、一緒に行きましょう!!」

と私は大きく頷いて言った。私的にはカモフラだろうがそうじゃかろうがどうでも良かった。