猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~

「最後まで付き合わせてしまって、すみません。挙げ句、送ってもらっちゃって……」

お店を出ての帰り道。真っ暗な夜道を二人並んでテクテク歩いている。

『さあ、選ぶぞ!』と意気込んでみたものの、種類がありすぎて頭がこんがらがっちゃって、結局三毛さんのアドバイスを受けて選んだ。

そしたら外が暗くなっちゃって、三毛さんが「家まで送ります」って……。

「いえ、良いんですよ。僕の方も珍しい茶葉が手に入りましたし」

三毛さんが、その茶葉が入っている袋を顔の高さ位まで持ち上げて見せた。

「そ、そーですか?」

「ええ。それに、一緒に買い物が出来て楽しかったですよ?デートみたいで」

「そーですか、それは良かっ……えっ!?デデデ、デート!?」

「はい。誰かとご飯を食べたのも久し振りでしたし、とても美味しかったです。やっぱり、一人で食べるより良いものですね」

三毛さんは特に意識して言ったつもりはなかったのか、穏やかな笑みを浮かべてはいるけど一切顔色を変えないでいる。その代わりに、私の心の中はパニック状態。

(デ、デートって!!)

確かに途中、『デートみたーい♡』って思ったけれども!まさか三毛さんも同じ事を思っていたとはっ!

(あ、ヤベ……ニヤニヤが止まらない!どうしよう!)

両頬を手で押さえてニヤける顔を元に戻そうとするけど、無理だ。

(デート……デート……)

心の中で、何回も反芻する。

なんて良い響きなんだ……。

「……み……ん……実森さん!」

「はいいぃっ!!」

急に手をグイっと引っ張られ、心臓が跳び跳ねた。