猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~

「あららら~。それは残念だったね」

お酒の缶がたくさん乗っているテーブルに突っ伏してやさぐれている私を、ケタケタと笑う楓。

昨日、あれから結局ミルクティーを一杯飲んだだけでお店から逃げる様に帰って来てしまった。(BLTサンドは持ち帰って食べた)

どう言う事かと一晩考えて、朝起きて考えて、仕事中も考えて。(←おい

でも全く頭と心の整理が付かなくて、仕事の帰りにこうして楓の家に来てやさぐれながらお酒を飲んでいる。

「よりにもよって、あんな美人雇うなんてさぁ……」

なにが一番引っかかっているかと言うと、やっぱり一番はそこだった。

ミルクティーを飲みながらチラチラ見たけど、とても美人だった。

カラカラとよく笑い、お客さんの事もよく見ていて気が利いてるとも思った。

実際、お店に来ていた男性客はみんなあの人を目で追っていたし、三毛さんも働き者だと褒めていた。

……救いは、アールが懐いていないと言う事だけだ。

「まあまあ、三毛さんは興味ないんだし、関係ないじゃん。その人が続くかどうかも分からないんだし、とりあえず様子見ときなよ。……辞表出す前で良かったね」

「……うん」

結局、辞表は出さず仕舞いで終わった。milk teaで働けないんだったら、今の会社を辞める理由がない。