猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~

「……やっと終わったぁ!」

あれから一週間。急に仕事が激務となり、お店に行けない日々が続いていた。

でもそれも今日で終わり。

私はパソコン作業で凝り固まった肩を回し、背伸びをした。

「ん~~!疲れたっ……!!」

「藤堂さんお疲れ様」

伸びをした後ろから声を掛けられ、振り向く。

そこには、姿勢をピッと正して主任が立っていた。

みんな忙しくてヨレヨレになっているのに、主任は髪一つ乱れる事なく、ピシッと黒のパンツスーツを着こなしている。いつ見てもカッコ良くて憧れの主任。

「主任、お疲れ様です」

「一段落したし、もう今日は帰っても良いわよ。はい、コレ」

主任が缶のミルクティーを私に手渡してくれた。

「わっ、ありがとうございます!すごく喉が渇いていたんです!」

ずっとパソコンとにらめっこで水分もろくに摂っていなかったから、とてもありがたい。

私は「いただきます」と言って、そのミルクティーを一気に飲み干した。

「はぁ~、生き返る~~!!」

ぷはぁっ!とビールを一気飲みしたおじさんの様に息を吐いた。

「ふふ、いい飲みっぷりね。今日は早めに帰って、ゆっくり休んで頂戴ね。じゃ、みんなお疲れ様」

「あ、はい!お疲れ様でした!」

みんなも「お疲れ様でした」と挨拶をする。主任はヒラヒラと手を振って課から出て行ってしまった。

多分、なんとかなった事を部長に報告しに行ってくれたんだと思う。

出来る女って感じで、凄くかっこいい。