「今日の夕食は、豚肉の生姜焼きよ。お味噌汁は、美砂の大好きな豆腐とわかめにしたわ」

「ありがとう!」

今日あった出来事を話しながら、二人はリビングに入って並べられた夕食を食べる。そんな二人は、ただの恋人から関係を大きく変えようとしていた。その証拠に、二人の左手の薬指には、お揃いの指輪がはめられている。

「じゃ〜ん!結婚式のことをちゃんと決めたいから、本を買ってきたよ〜」

「わあ、ありがとう!結婚式ができるなんて夢みたい……」

二人はそろそろ結婚しようと考えていた。互いの両親にはもう挨拶済みである。同性婚ということに互いの両親は戸惑っていたものの、二人の熱意に負けて結婚を認めてくれた。

「どんな結婚式にする?」

美砂が訊ねると、藍は少し考えてから「大勢の人に祝福されたいな」と微笑んだ。

「ほら、少し前って同性婚は認められてなくて、同性愛とかを気持ち悪いって思う人もたくさんいたんでしょ?あの頃、差別が原因で別れた人って多いのかなってずっと考えてて……。だから、もう時代は変わったんだよって証にたくさんの人を呼びたい」