朝の電車
あいつは空気より先に
俺の隣に来ようとする
離れたくて
ひとつ飛ばした吊革につかまる

そんなことをしても
あいつに捕まる
俺の隣を死守する
ため息が電車の天井に溜まる

電車がカーブする
体が揺れる
同じ方向に
違う方向に

肩が当たる
電車のせいなんだよ
肩に当たる
うれしそうにするんじゃねーよ

帰りは満員電車
ドアの近くに立つはめに
あいつは俺の目の前に立つ
鉄格子かよ

電車がカーブする
あいつの体だけが
世界から許された方向に揺れる
重なる制服

刹那
前髪
絡まる
アホ