《side 嶺》

朝から胸糞悪い。

雪の悪口を言ったり、挙句の果てに地味子とか呼びやがる奴らがそこら中にいる。

雪を地味に近づけようとしたのは俺だが、それを口にする奴らに腹が立ってしまう。

そいつらには今すぐ社会的に消してやってもいいんだけど、心優しい雪は悲しむからあとからバレないように裏で処理している。

好きな女の悪口をいう奴らを野放しにしておけるほど寛容ではない。

毎度雪への陰口を言う奴らがいるせいで頭に血が昇る一方だ。

そんな中、周りより一際大きな声で聞こえてきた雪への陰口。

「…」

こんなに声が大きいと雪にも聞こえたはずだ…。

あの女子グループは終わったな。

俺は隣にいる雪に気づかれないよう女達の方に向かって睨みつけた。
わかりやすく、怯えた顔をした女たち。

こいつらもあとで社会的に消えてもらおう。

「…ね、雪」

俺はカバンの中からとあるものを取り出した。