「行ってきますっ!」

支度が全て整いドアを開ける。

「はーい、いってらっしゃい!れいくんも、いつもありがとうね」

エプロンで濡れた手を拭きながらお母さんが玄関まで見送ってくれる。

「いえ、いつもお邪魔してしまってすみません」

「あら、お礼を言うのはこっちのほうなのよ!それはそうとれいくんは大きくなってもっといい子になったわね〜!」

「ふふっそんなことないですよ。花さんは変わらず今日もお綺麗ですね」

「ふふふっありがとうね〜、あっ引き止めちゃったわ!早く行かなきゃよね、気をつけていってらっしゃい」

「ふふっ。うん!ありがとう、行ってくるね!」

ちょっと長引く時もあるけど、なんだかんだで二人が話してるところを見るのが大好き。




家を出てれいくんと通学路を歩く。
少し家を出て歩いただけなのに周りの人の視線がれいくんに向けられる。

れいくんかっこいいからなぁ。
サラサラの黒髪に、吸い込まれそうなくらいに綺麗なルビー色の瞳をしている。

まるで神様がいちから丁寧に作り上げたようなとても整った顔立ちをしている。

昔かられいくんと歩くと目立ってたけど、いつになってもこの視線には慣れないや。

私みたいな地味な人が並んでると、余計に目立っちゃう…。

「そういえば雪。俺、生徒会の仕事今日休みだからそのまま教室に迎えに行くね」

「えっ教室まで来てくれるの?」

「最低限雪を一人にしたくないから」


れいくんは生徒会長で、私は生活風紀委員を担当している。

でも、一人にしたくないってどうしてだろう?

「私も今日委員がお休みだったから、一緒に帰れるなんて嬉しいっ…!」

今日から新学期だし、冬休み明けだったから久しぶりに帰れるのが嬉しくて自然と頬が緩んじゃう…、ふふっ今日の放課後楽しみだなっ。