「変じゃないかしら?」
「とてもお美しいですよ。旦那様は見惚れてしまうことでしょう」
「そ、そんなことっ」

 サリーシャの頬が赤く色づく。その様子を見たクラーラは「あら、まあ」と嬉しそうに微笑んだ。

「旦那様は、あの調子ですからあまり女性からの受けがよくないでしょう? 見た目が衛兵みたいで大きいですし、目つきは悪いですし、気の利いたロマンチックなこともできませんし」
「そうかしら?」

 突然何を言い出すのかと、サリーシャは小首をかしげて黙って先を促した。

「サリーシャ様がいらしてくれて、本当によかったですわ。お二人が仲良くしている姿を見ると、わたくし本当に嬉しくって」

 感極まったように目元をハンカチで覆ったクラーラを見て、サリーシャは慌てた。

「ちょっと、クラーラ。大袈裟だわ。それに、セシリオ様は確かにあまり貴族らしくない部分はあるかもしれないけれど、とても素敵な方だわ」