■ 第三話 図書室

 その日の朝もセシリオと食事をしていたサリーシャは、セシリオの発した言葉にふと手を止めた。

「図書室……で、ございますか?」
「ああ、そうだ。もう行ったか?」
「いいえ、まだです」

 サリーシャは小さく首を振った。そう言えば、初日にセシリオから屋敷内に図書室があると聞いた気がする。

「古い歴史書から、ちょっとした小説まで色々と揃っているはずだ。ここは辺境なので、さすがに最新の流行本はないのだが、欲しいものがあればドリスに言って揃えさせよう。……本は好き?」
「はい! 好きです」
「そうか。では、このあと案内しよう」
「ありがとうございます」

 サリーシャは思わず両手を胸の前で固く握りしめた。