朝食もとても美味しかったが、夕食も見た目どおり美味しかった。肉は柔らかく食べやすいし、味付けも程よい塩気や甘みがちょうどよかった。きっと、ここの調理を担当するのはとても優秀な料理人なのだろう。

「その様子だと、口には合う?」
「もちろんです。とても美味しいです」
「それはよかった。王都は華やかだから、このような田舎くさい料理は口に合わないと言われないか、皆心配していた」
「毎日夜会のような料理を食べる方が疲れてしまいます。わたくしはこの料理がとても好きですわ」
「そうか」

 セシリオはそれを聞いて笑顔で頷くと、少し沈黙してから「ここに来てくれたのがきみでよかった」と小さく呟いた。

「ところで、我々の結婚式なのだが、三ヶ月後を考えている。きみはドレスを作る時間が必要だろう? 今日、結婚しているものに聞いたところ、完全オーダーメイドで作成すると最低一ヶ月以上はかかると言われた。ここは辺境ゆえに、招待客はあまり呼ばずに内輪で済ませようとおもうのだが、色々な準備を考えるとやはり三ヶ月は必要だとドリスも言っていた。どうだろう?」
「結婚式でございますか……」