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 夕食の場に、セシリオは約束通り時間に遅れることもなく現れた。まだ仕事が終わっていないのか、アハマスの軍服である上下深緑色の服を着ている。

「もしかして、まだお仕事中でいらっしゃいましたか?」

 その姿を見て立ち上がったサリーシャがおずおずと尋ねると、セシリオは気にするなと片手を横に一度振った。

「俺の仕事はアハマスの領地経営だけでなく国境を守る必要があるゆえ、突発任務やトラブルで遅くなることも多いんだ。つまり、その日のその時間にならないと何時に仕事が終わるかはわからない。気にしないでくれ」
「でも、仕事を中断させてしまってご迷惑だったのでは?」
「きみがいてくれるおかげで夕食を取りに戻れた。むしろ感謝すべきところだ。明日からもきみを言い訳に食事に戻れるな」

 セシリオはサリーシャと目が合うと、いたずらっ子のように目を細めた。そして、何かに気付いたようにピタリと視線をサリーシャに留めた。

「あの……、閣下? 閣下の用意して下さったドレスを着てみたのですが、どうでしょう?」