ふと気づけば、セシリオが驚いたように目を真ん丸にしてこちらを見つめていた。サリーシャは「ああ、いけない」と笑いを噛み殺す。

「いえ。アハマス閣下は存外、とてもかわいらしい方でいらっしゃると思いまして」
「かわいらしい? 俺が??」
「はい」

 それを聞いたセシリオはポカンとした表情になり、まわりに控える侍女や給仕人は口元を押さえてくすくすと楽しげに笑った。

 椅子に座ると、サリーシャは改めてテーブルの上を見渡した。見た瞬間にものすごいご馳走の数々だとは思ったが、本当に沢山だ。例えば卵料理一つとっても、ゆで玉子、オムレツ、スクランブルエッグ、目玉焼きと揃っているし、ハムも五種類もあった。パンに至っては、沢山ありすぎて数え切れない。

「閣下はいつもこんなに沢山のご馳走を?」

 呆気にとられてテーブルを見渡すサリーシャに対し、セシリオは小さく首を振った。