辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する

 本当にこの人は、と思う。いつだって、サリーシャの一番喜ぶ言葉をくれるのだ。

「あなたの全てに敬意を表して、そしてわたくしの持てる全ての愛を込めて、これを」

 サリーシャは花冠と呼ぶには少し小さな花輪をセシリオに差し出す。セシリオは少し目をみはり、それを受け取る。そして、口の端を持ち上げてサリーシャの耳元に顔を寄せた。

「ありがとな。俺の愛しいレディ」

 ゆっくりと唇が重なり合う。
 あの日のように小鳥が囀り、優しい風が木々を揺らしていた。

〈了〉

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