辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する


「もう、こんな時間だわ」
 
 その声に釣られるように、フィリップ殿下も窓の外を見た。
 
「本当だな。俺とサリーシャがずっと部屋に籠って話しているから、アハマス卿があらぬ心配をしているかもしれない。そろそろ、行ってやるといい」
「はい」
「次は王都で会おう。エレナも大層サリーシャに会いたがっている」
「エレナ様が?」
「ああ。俺よりサリーシャが好きなのではないかと、疑ってしまうほどだ」

 少し口を尖らせて拗ねたような顔をする友人に、サリーシャは表情を崩してふふっと笑った。フィリップ殿下のこんな表情は、長年の付き合いがあるサリーシャも見たことがない。きっと、エレナだけにさせることが出来る表情なのだろう。