◇ ◇ ◇
時刻は少し戻る。
昨日からずっと働きづめだったセシリオは、ようやく屋敷に到着するとほっと一息をついた。
本来であればピース・ポイントに昨日行き、会談後に一泊して今日の午後に戻る予定だった。サリーシャに早く会いたいので多少早く到着するくらいの無理はするつもりでいたが、ここまでの強行軍をする予定はなかった。その予定が狂ったのは、王室からの使者と昨日屋敷を出た直後に遭遇したことが原因だ。
それは、全くの偶然だった。
ピース・ポイントに向かうため馬を走らせていたセシリオ達一行は、出発してから程なくして街道の向かいから一騎の騎馬が駆けてくるのに気付いた。暗い色が多い軍服のなかでは異色な、華やかな白い衣装には見覚えがある。タイタリア王室直属の近衛騎士の制服だ。
「止まれ!」
セシリオは片手を上げて部下たちを制止した。手綱を引かれたことにより、馬たちは嘶きながら足踏みをし、街道の土が舞い上がって土埃が視界を覆う。
近衛騎士はセシリオ達の一行の一人が持つ旗章に気付くと、馬を止めた。こげ茶色の軍馬は所々に泥が飛び散り、随分と薄汚れていた。きっと、かなり馬を急がせて来たのだろう。
時刻は少し戻る。
昨日からずっと働きづめだったセシリオは、ようやく屋敷に到着するとほっと一息をついた。
本来であればピース・ポイントに昨日行き、会談後に一泊して今日の午後に戻る予定だった。サリーシャに早く会いたいので多少早く到着するくらいの無理はするつもりでいたが、ここまでの強行軍をする予定はなかった。その予定が狂ったのは、王室からの使者と昨日屋敷を出た直後に遭遇したことが原因だ。
それは、全くの偶然だった。
ピース・ポイントに向かうため馬を走らせていたセシリオ達一行は、出発してから程なくして街道の向かいから一騎の騎馬が駆けてくるのに気付いた。暗い色が多い軍服のなかでは異色な、華やかな白い衣装には見覚えがある。タイタリア王室直属の近衛騎士の制服だ。
「止まれ!」
セシリオは片手を上げて部下たちを制止した。手綱を引かれたことにより、馬たちは嘶きながら足踏みをし、街道の土が舞い上がって土埃が視界を覆う。
近衛騎士はセシリオ達の一行の一人が持つ旗章に気付くと、馬を止めた。こげ茶色の軍馬は所々に泥が飛び散り、随分と薄汚れていた。きっと、かなり馬を急がせて来たのだろう。



