「随分と重いわ。それに、こうやって持つと結構大きいのね」
「そうですね。長さもあるので、これを腕の力で支えるのなかなか大変です。先ほど説明したように、このように使います。まずは銃口から火薬を挿入して、次に銃弾を入れる。これをこの棒状のもので奥に押し込みます。そしてこのマスケットレストを軸にして立てて──」

 ブラウナー侯爵は一通りを説明しながら実演してゆく。マスケット銃と一緒に布にかけられていた一本の棒──マスケットレストをステッキのように床にたてて見せ、マスケット銃をその棒の上にのせた。横から見ると、その棒を台座にしてT字のような形に見える。

 ブラウナー侯爵が引き金を引いた瞬間、マスケット銃のフリントが当たった火蓋がパシンと閉まる。シュバーンという独特の轟音と共に、銃口から銃弾が発射された。