「ありがとうございます。あの……お付きのものも一緒でも?」
「もちろん構いませんよ」

 サリーシャはそれを聞いてホッとした。ノーラに同席して貰おう。回りに人がいれば、ブラウナー侯爵もおかしな真似はしないだろう。それに、セシリオから『ブラウナー侯爵と二人きりになるな』と言われたことも守れる。

「では、よろしくお願いします」

 サリーシャがペコリとお辞儀すると、ブラウナー侯爵はにんまりと笑って「では、のちほど」と言って去って行く。

 ──ずいぶん親切だけど、いったい、どんな心境変化があったのかしら?

 その後ろ姿を見つめながら、サリーシャは首をかしげる。でも、いい傾向に変化したならよかったのかとすぐに思い直した。

 部屋へ戻ると、ちょうどノーラがベッドシーツを整えているところだった。サリーシャが戻ってきたのに気付いたノーラは「あ、サリーシャ様」と声を上げる。