『きみは俺が必ず幸せにしてやる。だから、安心して愛されていていいんだ』

 そう言ったセシリオの言葉が、サリーシャには何よりも嬉しかった。

 ストンとドレスが床に落ち、シュミューズだけになったサリーシャは、それも肩ひもから外し、床に落とした。その瞬間、背後のセシリオが息を飲んだのがわかった。

 ──やっぱり、気味が悪いわよね……

 サリーシャは目を伏せた。
 無防備な姿は酷く心細い。ましてや、下にドロワーズは着ているとはいえ、男性にこのような姿を見せるのは初めてだ。後ろからは見えないはずだが、なんとなく胸を隠すように両手を前でクロスさせて自分の肩に触れると、幾分か気持ちが落ち着いた。

 沈黙のベールが部屋を包む。

「閣下?」

 こちらを見ているはずのセシリオが一言も発しないのを怪訝に思ったサリーシャは、小さく呼びかけた。背中を見せているせいで、セシリオの表情は伺えない。

「……少し触れても?」
「はい」

 ようやく紡がれた問いに返事をすると、背中に優しく触れる温もりを感じた。傷痕の具合を確認するように、指先が肌をゆっくりと這う。