「それで……見てみても?」
「はい」
ためらいがちに聞かれ、サリーシャは頷いた。覚悟を決めてセシリオに背を向けると、自らのドレスのボタンを外し始めた。緊張で指が震えて、いつものように上手く外せない。
一つ目のボタンを外すとき、セシリオと初めて会った王宮の秘密の場所が鮮やかに蘇った。フィルとの待ち合わせの場所に突然現れた年上のお兄さん。まさか婚約者になるなんて、あの時は想像だにしていなかった。
二つ目のボタンを外すとき、求婚に来た日のセシリオの様子が脳裏を過ぎた。怒っているように顔をしかめていたあの日の表情は、今思い返せば照れていたのだろう。
三つ目のボタンを外すとき、二人で城下へお出かけした日のことが思い浮かんだ。握られた手が温かくて、なぜだか安心した。きっとあのときには既に、自分はこの人に恋をしていたのだろう。
一つボタンを外すたびに思い出が蘇った。そして、最後のボタンを外すとき、サリーシャの脳裏に蘇ったのは、デオに相乗りして一緒に夜空を見に行った日のことだった。
「はい」
ためらいがちに聞かれ、サリーシャは頷いた。覚悟を決めてセシリオに背を向けると、自らのドレスのボタンを外し始めた。緊張で指が震えて、いつものように上手く外せない。
一つ目のボタンを外すとき、セシリオと初めて会った王宮の秘密の場所が鮮やかに蘇った。フィルとの待ち合わせの場所に突然現れた年上のお兄さん。まさか婚約者になるなんて、あの時は想像だにしていなかった。
二つ目のボタンを外すとき、求婚に来た日のセシリオの様子が脳裏を過ぎた。怒っているように顔をしかめていたあの日の表情は、今思い返せば照れていたのだろう。
三つ目のボタンを外すとき、二人で城下へお出かけした日のことが思い浮かんだ。握られた手が温かくて、なぜだか安心した。きっとあのときには既に、自分はこの人に恋をしていたのだろう。
一つボタンを外すたびに思い出が蘇った。そして、最後のボタンを外すとき、サリーシャの脳裏に蘇ったのは、デオに相乗りして一緒に夜空を見に行った日のことだった。



