そのドアの向こうは、寝室になっていた。
セシリオの執務室にも一人用の簡易ベッドのようなものがあるが、この部屋のベッドはサイズが全く違った。サリーシャの宛がわれた客間の大きなベッドよりも更に大きなベッドには豪華な天蓋の枠が付いており、そこには花と蔦のような模様が彫刻されている。寝具はピシッと整えられており、香を焚いてあるのか僅かに甘い香りがした。明かりは執務室よりかなり暗めにライトダウンされている。
「ここは、寝室ですか?」
「そうだ。俺の寝室でもあるし、結婚後には俺ときみの寝室だ。普段、俺は執務室の方で寝ることが多いが、いつでも使えるように毎日準備してくれている。殆ど使っていないが……」
説明しながら、セシリオは少し気まずそうに視線をさ迷わせた。疚しい事がなくとも、まだ正式に結婚する前のサリーシャを寝室に連れ込むのは、あまり褒められることではないからだろう。
サリーシャは、その様子を見て初めてセシリオがマオーニ伯爵邸に来たときのことや一緒に初めて朝食をとったときのことを思い出した。少し照れたり気まずくなったりすると、セシリオは視線をさ迷わせることが多い。先ほどまでの怒れる鬼神のごとき様子から想像もつかない可愛らしい姿だ。
こんな可愛らしさを持ちながら、誰よりも男らしい人。こんな場面にもかかわらず愛しさがこみ上げ、この人と少しの間でも夢を見れた自分は幸せ者なのかもしれないと思った。
セシリオの執務室にも一人用の簡易ベッドのようなものがあるが、この部屋のベッドはサイズが全く違った。サリーシャの宛がわれた客間の大きなベッドよりも更に大きなベッドには豪華な天蓋の枠が付いており、そこには花と蔦のような模様が彫刻されている。寝具はピシッと整えられており、香を焚いてあるのか僅かに甘い香りがした。明かりは執務室よりかなり暗めにライトダウンされている。
「ここは、寝室ですか?」
「そうだ。俺の寝室でもあるし、結婚後には俺ときみの寝室だ。普段、俺は執務室の方で寝ることが多いが、いつでも使えるように毎日準備してくれている。殆ど使っていないが……」
説明しながら、セシリオは少し気まずそうに視線をさ迷わせた。疚しい事がなくとも、まだ正式に結婚する前のサリーシャを寝室に連れ込むのは、あまり褒められることではないからだろう。
サリーシャは、その様子を見て初めてセシリオがマオーニ伯爵邸に来たときのことや一緒に初めて朝食をとったときのことを思い出した。少し照れたり気まずくなったりすると、セシリオは視線をさ迷わせることが多い。先ほどまでの怒れる鬼神のごとき様子から想像もつかない可愛らしい姿だ。
こんな可愛らしさを持ちながら、誰よりも男らしい人。こんな場面にもかかわらず愛しさがこみ上げ、この人と少しの間でも夢を見れた自分は幸せ者なのかもしれないと思った。



