ヘンリーはそのままに降りようとした私を制して、靴を拾い上げると丁寧に砂をほろってくれた。 あぁ、ヘンリーはやっぱり優しい。 「⋯⋯ありがとう、ヘンリー」 「すみません、驚かせてしまって。ルーシー様を見ていたら、とても幸せな気持ちになりまして」 へ⋯⋯? ドキドキしていただけなのに? そう言って柔らかく微笑んだ彼は、足元に膝をついてそっと私の脚を手にした。 まるで靴を片手に足元にひざまずく彼は、持ってきた本に出てくる王子様みたいだ。 お父さまと同じくらい素敵だわ。