夏。

嫌気がするほど暑い日だった。

セミが大合唱をしている。

うるさいなぁ、そう思いながら街中を歩いて行く。

私はある店の前を通った。

あ、ヤバい、この店の前通らないようにしていたのに…

私は、まっすぐ先だけ見て、あるものを目に入れようとしなかった。

目に入れたくなかった。

だけど、やっぱり気になって、見てしまった。

向日葵だ。

あの頃、君がこの花大好きなんだと笑顔で言っていた。

君の愛した花だ。

「すみません、向日葵を三本お願いします」

つい、買ってしまった。

向日葵を見ていると、あの頃を思い出す。

君との思い出を。

私は、家に帰り向日葵を花瓶にさした。

そして、あの頃の日記とアルバムを開く。

あの頃の記憶が、鮮明に溢れてきた。