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5月。
この学校に入学して約1ヶ月。

ここは、美容専門学校。
私は美容師になりたいわけではない。
メイクが好きでもネイルが好きなわけでもない。

じゃあなんで美容学校に行ったのか

理由は一つ。

両親が美容師だからだ。

『したいことがないなら行ってみれば?』

この一言で私は美容学校に進学した。
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私の名前は山本茉央(やまもとまお)。
人と関わるのが面倒でいつも1人。

美容学校ということもあって
周りの人たちはみんな派手だ。

金髪だとかピンクだとか。

外に出れば目立つ色も
ここにいればどんな髪色も
それなりに馴染んで見える。

むしろ浮いているのは私。
髪を染めたことがないし
朝から何かするなんて面倒だから
いつも一つに結ぶだけだった。
服もこれと言っておしゃれなわけではない。

そんな私に
最近声をかけてくる男子がいる。
隣の席の水沢海斗(みずさわかいと)だ。

明るい性格で女子にも人気。
髪の毛はいつもセットしてるし
服もおしゃれ。
私とは真逆すぎる人だ。

『おはよー!茉央!』
遅刻ギリギリ。
走って教室に入ってきた彼は
元気に私に朝のご挨拶。

『おはよ』
携帯を触りながらそう言う私。