若旦那の恋は千鳥足





「あれ?ちょっと味が変わったね。」

「え?わかりましたか。」

「そりゃあ、わかるよ。」

今日は、京都風の味を目指してみたんだけど、すぐにわかってくれるなんて嬉しいな。



「どう…ですか?」

私は恐る恐る訊ねてみた。



「うん、美味しいよ。」

わぁ~、頑張った甲斐があったよ。
柚希さんの笑顔と「美味しい。」って言葉だけで、今日のもやもやした気分もぱーっと晴れたよ。
私って、単純だな。



「家政婦さんに来てもらおうか?
今までは土曜日にハウスキーパーさんに来てもらってたんだけど、食事もってなると家政婦さんだよね。」

「え、私、お料理ならやりますよ。
それにお掃除だって。」

「そんな…
仕事して帰って来てからも用事するなんて、疲れるでしょ。
あ、なんなら仕事、やめる?


えー…そんなところまでいく?
まだ結婚もしてないのに、専業主婦ってこと??
でも、優しいよねぇ。
共働きの夫婦なんて、世の中たくさんいるのに、そんなに気遣ってくれるなんて…
わぁ、どうしよう!?
この際、専業主婦になっちゃおうかなぁ?…なんてね。



そしたら、同僚の態度の事で悩まなくて済む。
……でも、それって逃げるみたいでちょっといやだな。
だって、私は何も悪いことなんてしてないんだもん。