若旦那の恋は千鳥足

「あの~つまらないものだけど、良かったらどうぞ。
連休に旅行に行って来たんで…」

私は京都で買ってきた酒饅頭やきつね煎餅をテーブルに広げた。
みんな、とりあえずは見るんだけど、なかなか手に取らない。



「あれ?もしかして京都に行ってきたの?」

そう言ったのは、川田さんだった。



「う、うん、そうなの。
良かったら、食べて。」

私は、酒饅頭を川田さんに手渡した。
川田さんは一応それを受け取ってくれたけど、だけど、どうも様子がおかしい。



「……旅行は、誰と行ったの?」

吉田さんが質問した時、なぜだかその場の空気が張り詰めたものに変わった。
びっくりしたような顔をした人、俯く人…
何なの~~??
絶対、変なんですけど。
あ、早く答えなきゃ…



「え、えっと、その…
婚約者と。」



うわ……
さっきより酷い。
完全に凍り付いたよ。



でも、どういうこと?
やっぱり、私が玉の輿に乗るから、みんな、面白くないってこと?



「あ、は、早くお昼ご飯食べなきゃ。」

「そ、そうよね。」

そこらに集まってた人達は蜘蛛の子を散らすようにその場から去っていった。



テーブルの上には、お菓子が残ったまま…



「あれ、饅頭じゃないか、どうした?」

「あ、課長…旅行のお土産です、どうぞ。」

「おぉ、ありがとな。」

課長のおかげでお土産ははけたけど、なんとも哀しい気分だった。