若旦那の恋は千鳥足





「おはようございます。」

次の日は言われた通りに、タクシーで出社した。
なんか贅沢で、ちょっと後ろめたい気はするけれど、事情が事情だから仕方ないよね。



「あ、お、おはよう。」



あれ…なんだろ?
みんな、ちょっとよそよそしいような…
えっ!?もしかして、私が玉の輿に乗るからって妬んでる!?
まさかねぇ…気のせいかな?
だよね。きっと気のせいだ。
私は自分の席に着いた。



「岡田さん…連休はどうしてたの?」

吉田さんが小声で訊ねる。



「うん、実はちょっと旅行に…
つまらないものだけど、お土産買って来たから、お昼休みに渡すね。」

「……そうなんだ。」

なんだか吉田さんの態度が気になる。
なんていうのか…テンションが妙に低いんだよね。
旅行に行ったことだって、普段なら、どこに行ったのだとか、誰と行ったのだとかあれこれ訊きそうなのに、何も訊かないんだもん。
やっぱりおかしいよ。



仕事中もなんとなく変な感じがした。
それとも、私の思い込みなのかな?
あからさまにどうこうっていうのはないんだけど、なんかいつもとちょっと違うような感じがするんだけど…
そう感じるのは主に女子社員。
比較的仲良い人達だけで、他の人は至って普通。
やっぱり、私の思いすごしなのかな?
悶々とした気持ちを抱えたまま午前の仕事が終わった。