若旦那の恋は千鳥足

私は、運動神経には自信がない。
そんな私が、走ってる車から飛び降りるなんてきっと無理なんだろうけど、頭の中で何度もシミュレーションした。
だけど、信号待ちで何度か止まった時も、私はそれを行動に移せることはなく…



「……着いたよ。」



車はタワーマンションの地下に吸い込まれて行った。



「あ、あの、私…用…」

「そうそう、昨日、なにかわからないけどスイーツをもらってね。
食後に食べようね。」



(スイーツ??)



どんなスイーツなんだろう?
私の頭の中には、魅惑的なスイーツたちが次々と浮かんでは消えていた。



(あ!)



気が付けば、私はエレベーターに乗っていた。



(ど、どうしよう!?)



焦ってる間にもエレベーターはどんどん上昇を重ねて、私の耳がおかしくなった時、エレベーターの扉が開いた。



少し歩くと扉があって、柚希さんはその扉を慣れた動作で開いた。



「どうぞ。」

「え……は、はい。」



とりあえず、今逃げるのは難しそうだから、しばらくは様子を見ることにした。
私は素直に部屋の中に入った。