若旦那の恋は千鳥足

「ここまで来たらあと少しだけど、山頂よりもここからの方が景色は良いんだ。」

「へぇ~…そうなんですか。」

言われて、眼下を見下ろせば、そこからは京都市内が一望だった。
確かに良い眺めだ。
いつの間にかけっこう高くまで登って来たんだな。



うどんもとても美味しかった。
いかにも京都らしいお味っていうか…
なんだか、京都の薄味にハマりそう。



時間もけっこうかかったし、お腹も景色も満足したから、結局、山頂までは行かず、ゆっくり降りて…
お土産屋さんでまたたくさんのお土産を買った。
稲荷神社らしく、きつねのグッズがたくさんあって、それがまた可愛くて、調子に乗ってたくさん買ってしまった。
柚希さんが、そんな私を不思議そうに見てたから…



「柚希さん、これ…」

「何?」

「きつねの靴下です。」

「えっ!?」

柚希さんは受け取った袋を見て苦笑いする。



「ぜひ、履いてくださいね。」

「……そうだね。ありがとう。」

ま、履いてはくれないだろうけど、自己満足だから良いんだ。
どうしても、きつねの靴下をあげたかっただけだから。



「じゃあ、そろそろ帰ろうか。」

「はい。」

疲れたけど、楽しかった。
この時の私は、とても満ち足りた気分だった。