若旦那の恋は千鳥足





「あぁ、美味しかった。」



ほのかにお酒の香りがして、とても美味しいラーメンで、お腹も心も大満足だ。



「久しぶりにラーメン食べたよ。」

「そうなんですか。」

柚希さんの周りはセレブな人ばかりだから、ラーメン屋さんなんて行かないんだね、きっと。
でも、久しぶりのラーメンは美味しかったみたいで良かったよ。



「じゃあ、次は伏見稲荷に行こう。」

駅前から、私達はタクシーに乗り込んだ。







「わぁ!すごい!」

柚希さんが連れて行ってくれた伏見稲荷は、真っ赤な小さめの鳥居がズラーっと並んでて圧巻だ。



「一体、どのくらいあるんでしょう?」

「多分、一万基くらいはあるんじゃないかな。」

「そんなに!?」

「願いが叶うと、鳥居を奉納するんだ。
或いは願いが叶うようにってことで奉納する人もいるよ。
実は、僕もね、奉納してるんだ。」

「えっ!?どこにあるんですか?」

「……さぁね。」

わぁ、また柚希さんの意地悪が始まった。



「どんな願いが叶ったんですか?」

私は質問を変えてみた。



「……医師になれるようにってね。」

今回は意外とすんなり答えてくれた。
でも、その時、柚希さんの顔に影が差したように見えたのが少し気になった。