若旦那の恋は千鳥足

ちょっと心配はしたけれど、柚希さんが言ってた通りに話をさっさと進めてくれて、ご両親もあっさり認めて下さってほっとした。



「柚希、しばらくはゆっくり出来るんか?」

「いえ、今日、東京に帰ろうと思ってます。」

「なんやて?なんでそんな早よ帰るん?」

私もそれにはびっくりしたよ。
せっかく京都まで来たっていうのに、観光もせずに帰るなんてもったいなさすぎる。



「せめて、一晩くらい泊まって行ったらどないやの?
せっかく来たんやし、今夜は泊まって、明日、ひとみさんをどっかに連れていったげえな。
なぁ、ひとみさん。」

「え?あ、は、はい。そうですね。」

「ほら、ひとみさんかてこないにゆうたはる。」



あれ?私、まずいこと言った?
柚希さんの目がちょっと怒ってるみたいに見えるんですけど…



「とりあえず、うちは買いもんに行って来るわ。」

「お母さん、食事は…」

「ひとみさん、なんか嫌いなもんある?」

「え?いえ、私は好き嫌いは特にありません。」

「そらよかった。ほな、行って来ます。」

そう言って立ち上がったお母さんの背中を、柚希さんは疎ましげにみつめていた。