若旦那の恋は千鳥足

「あぁ、美味しかった。
甘いものもたまには良いね。」

「そ、そうですね。」

「あ、まだ名前を言ってなかったね。
僕は勅使河原柚希。」

「て、てしがわら?」

「難しい名前でしょ。
住所だけでもややこしいのに、名前までややこしいなんて最悪だよね。君の名前は?」

「お、岡田ひとみです。」

この人に比べて、私ってなんか平凡な名前だな。
名前なんて平仮名だし。
って、そうじゃない。
私、つい名前を教えてしまったけど、大丈夫かな!?
相手は初対面の人なのに。
適当に偽名を言えば良かったよ。
あぁ、私のバカ、バカ!



それに、初対面の相手にいきなり結婚しようなんて言う人なんだよ。
見た目はカッコイイけど、実はすごくおかしな人だとか、或いは…詐欺師か何かかもしれないし。



そんなことを思ったら、急に怖くなって来た。



「ひとみか~
可愛い名前だね。
勅使河原ひとみ…うん、合うね。」

勝手なことを言って、なんだか微笑んでるよ。



「あの、勅使河原さん…」

「苗字は変だよ。
柚希って呼んでよ。」

「え?じゃ、じゃあ、柚希さん…」

「はい、何かな?」

「え?だ、だから…あ、あの、わ、私、もう帰ろうかと…」

「そうなの?分かった。
じゃ、行こうか。」

「えっ!?」

柚希さんは、立ち上がって、なぜだか私の荷物を抱えた。