若旦那の恋は千鳥足

「ご実家までは遠いんですか?」

「いや…それ程はかからないよ。
面倒だから、タクシーで行こう。」

柚希さんはそう言って、すたすたと歩き出す。
外はかなりの暑さだ。
なんだか、東京よりもだいぶ蒸し暑いような気がする。
帽子かぶってきて正解だったかも。



柚希さんは、やっぱり、このあたりのことはよく知ってるんだなぁ。
地元なんだから、当然か。
さっきのレストラン、高校生の時に行ったのが最後って言ってたから、大学から東京に出たのかな?



そんなことを考えてるうちにタクシー乗り場に着いて、私達はタクシーに乗り込んだ。



いよいよ、柚希さんのご両親との対面だ。
あぁ、なんだか緊張して来たよ~!
化粧崩れてないかな?
変なところはないかな?
こっそりとコンパクトを出して、顔面チェック。



(うん、このくらいなら大丈夫。)



「緊張しなくて良いからね。」

「えっ!?」

「僕が話を進めるから、心配しないで。」

「は、はい。」

そんなこと言われたら、逆に緊張感は高まって来たよ。
でも、今更、逃げることも出来ないんだから、腹をくくらなきゃ!